<第13回>  「予防接種」

   震災が起きた時、チェリーは2ヵ月児でした。予防接種が始まった月です。震災が起こる3週間前に初めての予防接種をしていました。前震後に実家に避難し、今後の予防接種はどうするか悩みました。

 

 住んでいる地域は熊本市内で、ライフラインは途絶えたままでした。かかりつけ小児科は再開したと聞いていましたが、余震も続いていたのでいつ熊本市に帰れるかを決めかねていました。そして、益城や阿蘇の方やけが人でパンク状態の病院を思うと「こんな時に予防接種なんて受けていいのか・・・。」と申し訳ない気持ちになりました。けれど、もしまた大きい地震がきて避難所生活となった場合のことや予防接種を受けずに感染症にかかった場合の後悔、そしてなによりもチェリーのことを思うと受けられる時に受けたほうがいいと思うようになりました。

 

 定期接種の料金は市が負担して下さるため、まずは熊本市役所に避難先で予防接種を受ける方法を問い合わせました。震災直後の市役所に問い合わせをすることはとても心苦しかったのですが、職員の方はすぐに担当先につなぎ丁寧に答えてくださいました。

 

他の地域で予防接種を受けるためには、住んでいる地域の問診票が必要でした。それはFAXや郵便で送っていただきました。そして避難先の小児科に問い合わせ事情を説明し受け入れて頂けることになりました。

 

予防接種の薬剤は病院によって仕入れ先が違い、薬品名が違うことがありますが同じ内容の予防接種が受けられます。しかし、「ロタウイスル」に対する飲み薬だけは注意が必要でした。ロタウイルスの予防接種薬には「ロタリックス」と「ロタテック」の2つがあります。チェリーはロタリックスを使用していましたが、受け入れて頂いた病院ではロタテックのみを取り扱っていたのです。これだけは最初に使用した薬を2回目(もしくは3回目)も使わなければいけないそうです。予約の電話の際に「ロタウイルス」と言ったので、診察の際に医師が母子手帳をみて気づいて頂きそこからまたチェリーのためだけにロタリックスを入荷して頂きました。(心から感謝しています!)

 

市役所の方、受け入れ病院の方に本当にお世話になり滞りなく予防接種を受けることができとても嬉しく、そしてありがたかったです。その日から2か月後、熊本に応援に来てくださった名古屋の保健師さんから電話がありました。「チェリーちゃんの予防接種や3か月検診は受けていますか?」と。予防接種どころではない被災のひどかった地域のかたを思うととても罪悪感が沸いていましたが、やはり予防接種はこれから生きていくために必要なこと。電話を頂きやっと罪悪感が消え、感謝の気持ちだけの予防接種となりました。